ICL手術後の白内障発症リスク・治療について
ICL(Implantable Collamer Lens)は近視・乱視の矯正を目的とした眼内レンズ挿入術であり、白内障そのものを「治す」手術ではありません。また、ICL手術後に白内障が発生することがあるのか、治療は可能なのかなどを詳しく解説します。
白内障はICL手術で治るのか?
ICL手術は、水晶体(天然レンズ)を温存したまま目の後方に合成レンズを挿入して屈折を補正するもので、白内障(濁った水晶体の除去)を目的とした手術ではありません。そのため、すでに濁った水晶体をクリアにすることはできず、白内障を「治療」する役割はありません。白内障の治療には超音波乳化吸引術(白内障手術)で濁った水晶体を摘出し、人工の眼内レンズ(IOL)を移植する必要があります。
ICL手術と白内障手術の違いとは
ICL手術は若年層の屈折矯正を目的とする可逆的な視力矯正術、白内障手術(IOL挿入術)は高齢者の濁った水晶体を除去・置換して視力を回復するための手術です。目的や対象となる年齢、手術内容や合併症リスクなども異なるため注意が必要です。
項目 | ICL手術 | 白内障手術(IOL挿入術) |
---|---|---|
手術の目的・適応 | 強度近視・乱視などの屈折異常を矯正 | 濁った水晶体を除去し視力を回復 |
対象年齢 | おおむね20~45歳程度 | 主に60歳以上(加齢性白内障) |
レンズの種類・素材 | Collamer製の可摘式インプラントレンズ(Hole ICLなど) | アクリル/シリコン製の固定式人工レンズ(単焦点・多焦点IOL) |
レンズ設置位置 | 虹彩と天然水晶体の間(後房) | 摘出後の水晶体嚢内 |
切開サイズ・手術時間 | 約2.8mmの小切開、10~20分程度 | 同程度の切開、20~30分程度 |
可逆性 | 可摘式のため将来問題があれば摘出可能 | 基本不可逆(度数不適合時はレンズ交換術) |
主な合併症リスク | Vault不足による混濁、房水循環障害など | 後嚢混濁(PCO)、術後乱視残存、眼内炎など |
術後フォロー・管理 | Vault高さ、眼圧、房水流れを定期チェック | 視力変動、後嚢混濁、網膜状態を定期チェック |
将来の治療オプション | 白内障発症時はICL摘出後に白内障手術へ移行可能 | IOL度数変更が必要な場合はレンズ交換術 |
ICL手術を受けた際に白内障になるリスクは上がる?
そもそも白内障は80歳以上ではほぼ100%が発症すると言われています。50代で40~50%、60代で70~80%、70代で80~90%が発症するというデータもあるため、ICL手術の影響によらず加齢によって発症し、程度は個人差があるため必ずしも手術が必要という訳でもありません。
ICLは水晶体のすぐ後ろ(後房)に挿入するため、従来型レンズではレンズ前面と水晶体の接触や房水循環の障害によって、水晶体混濁(前嚢混濁)を起こしやすいという報告がありました。しかし、2015年に導入された中央に微小孔を設けた「Hole ICL(KS-AquaPORT™)」では、房水の流れが確保され、白内障発症率は極端に低下しています。現在のデータでは、Hole ICL装用後の術後白内障手術必要例はほぼゼロとされています。
一方、中央孔のない旧型(V4モデル)では、長期追跡で約5年後に約5%、10年後には約18%の症例で白内障手術が必要とする報告もあります。今日では適切なレンズ選択と術前検査により、このリスクは大幅に低減されています。
参照元:JAMA Ophthalmology:Clinical Outcomes and Cataract Formation Rates in Eyes 10 Years After Posterior Phakic Lens Implantation for Myopia(https://jamanetwork.com/journals/jamaophthalmology/fullarticle/2498860)
ICL手術後に白内障になった場合、治療はできるのか?
ICL装用中に白内障が進行した場合でも、挿入したICLをいったん摘出してから通常の白内障手術(超音波乳化吸引+IOL移植)を受けることが可能です。摘出後は、単焦点眼内レンズから多焦点眼内レンズまで、患者さんのライフスタイルに合わせたレンズ選択が行えます。ICL治療を行ったクリニックでも、レンズ除去と同時またはその後の白内障手術に対応している施設がほとんどですので、まずは術後フォローの中で状態を確認し、視機能に不自由を感じた時点で専門医にご相談ください。
白内障を気にする人がICLを検討するなら
白内障は加齢に伴ってほぼ万人に発症しうる病気です。水晶体内のたんぱく質が変性してレンズが濁ることで視力低下をきたすこの疾患は、年齢を重ねるほど発症リスクが高まります。たとえ現在ICLによって理想的な裸眼視力を得られていても、将来的に白内障が進行すれば、挿入したICLレンズを一旦摘出し、新たに水晶体と置換する白内障手術が必要になります。ICL手術後に白内障を発症しても、ICLレンズを取り外し通常の白内障手術が可能です。
ICLと白内障手術はいずれも眼球内部を扱う「内眼手術」に分類され、基本的な手技や求められる技術レベルが非常によく似ています。ICLは角膜を削るのではなく、虹彩の後ろ側に専用レンズを移植することで視力矯正を行うため、白内障手術と同様に眼内に小さな切開を入れてレンズを操作します。そのため、白内障手術で培った高い技術や豊富な症例経験を有する医師であれば、ICLの挿入技術はもちろん、万一ICLの摘出や術後合併症が生じた際にも的確な対応が可能です。
ICLレンズは将来的に取り外して多焦点眼内レンズなどに置き換えることができる可逆性が魅力ですが、その際の眼内レンズ度数の精密な設計や、房水循環の確保、後発白内障(術後レンズ周囲の組織が濁る合併症)への対応など、高度な知見と経験が求められます。白内障手術の実績が豊富なクリニックであれば、これらすべてを一貫して安心して任せられるだけでなく、術後の炎症管理や定期検診体制も整っている点が大きなメリットです。
これからICL手術を検討される場合は、白内障手術の実績にも着目してクリニックを選ぶと良いでしょう。
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